SHIFT_the way you move グラの可能性を、未来へ。
何故だろう、と大野は思った。
季節は春先。
いくら暖かい気候だからと言って、この季節、こんなに暑いと思うことは少ない。
いくら酒を飲んでいるからと言えど、あまりの暑さに1枚で着ているシャツを脱いでしまおうか悩むなどということは、暑がりでない大野にとって珍しいことだった。
ましてやコンサートのため東京よりも幾分涼しい地域に来ているわけで。
それにここはホテル内の自分の部屋。
空調は動いていないはずだし、実際酒を片手に突然訪ねてきた目の前の男は暑そうには見えない。
何かがおかしい、とは思うものの、大野の頭はボーッと湯だったように働かない。
「美味しい?リーダー。」
「う…ん……。」
差し入れられた酒は確かに美味しい。
美味しいんだけど…。
「ねぇ、汗かいてるよ?」
二宮の手が額に触れ、それだけでビクッと大野の身体が跳ねる。
ドクン、ドクンと身体の奥の血が騒ぐ。
くらりと視界が歪み、疲れているのかと疑うも、仕事の量は目の前の男に比べても多くないはずだ。
「なん、か…」
二宮は口の端を上げ、唇を大野の耳元へ近付ける。
「…ムラムラする?」
「……っ!」
大野は驚き、目の前の飄々とした男の顔を見た。
図星だったからだ。
何故バレたのだろう、と大野は考える。
もじもじと足を動かしていたから?
顔が赤く息が短いから?
…いや、違う。
自分の部屋へと持ち込まれた酒の瓶を見て、確信する。
「…お前、酒に…何か変なん、入れた…?」
二宮は少し目を開き、くくっと喉を鳴らして笑う。
「おじさん、案外鋭いね。そういう知識は一応あるんだ?俺が言う前にバレるとは思わなかったわ。」
カタリと席を立ち、腕を伸ばしてテーブルの上に置かれた藍色の瓶をとる。
「媚 薬、っつーの?誕生日にさ、ほら、いるじゃん。悪ふざけでそういうゲスいのくれる奴。余ってたから、アンタのグラスに入れてみました。」
さらりと恐ろしいことを言われ、息が浅くなり微かに震える。
内側から燃えるように暑く…否、
『熱く』なって、じわりじわりと中心へと集まっていく。
「あっは。リーダー、超エロいよ?自分じゃ分かんないだろうけど(笑)」
「何でこんなこと…っ」
「わかんない?言われないと。それとも、認めたくないの?」
「んなん、分かるかよっ!!ちゃんと言えよ…っ!」
大野は二宮の言わんとすることに全く心当たりがない。
ただただ、ずくん、ずくん、と少しずつ硬度を増すそれを感じて狼狽している。
「もうさ。俺にしときなさいよ。薬のせいにして、俺を利用すればいいのよ。」
「利用…って…」
ごくり、大野の喉が鳴る。
先程から自ら触りたい欲望と必死で戦っているが、メンバーを前にそんなこと出来るはずが無い。
「…あんたさ、いるでしょうが。好きな人。」
どきりと心臓が跳ねた。
好きな人。
その表現で浮かぶ顔は、いつだって優しく整った顔。
自分とは釣り合わない、一番近くて誰よりも遠い男……。
「俺にしなよ。ね?」
二宮が大野に擦り寄り、腿をそっと撫でる。
「ふ、ぁっ」
不確かで曖昧なその手の動きに、ぞくりと肌が粟立つ。
「見てらんないのよ。リーダーだって溜まってんでしょ?ホラ…こんななってんじゃん。」
「やっ…やめろよ!!」
二宮が不意に布地の上からそれを撫で、突然の快 感に身体が跳ねる。
「別にさ。お宅ら、付き合ってるわけでも無いんだし。良くない?大人なんだし、どっかで発散しないと。」
二宮は御託を並べてカチャリとベルトに手をかける。
大野の手が慌てて止めるも、薬のせいかその手に力は入らない。
「ニノ、やめろ、やだ、こんなんやだよ」 p>
「何で?単純にキモチイイだけじゃん?…ああ、もしかして怖いの?別に俺、突っ込まれる側でもいいし。リーダーに任せるよ。」
二宮の器用な指は呆気なく覆っていたものを剥ぎ取り、大野の猛 ったモノが空気に触れる。
「あ、ばかっ…ぅあっ…!」
突然ぱくりと口 内に 咥 えられ、大野の背中が仰け反る。
くちゅ りと二宮の唾液 が 音を立てる。
何の覚悟も出来ないまま、ただ身体が快 楽 の波を求めて止まない。
「に、の、やめっ…」
言葉とは裏腹に大野の手が二宮の後頭部に回る。
もっと、もっと。
腰の奥が溶けそうだ。
単純で残酷な 欲 に、ずるずると呑み込まれていく。
心だけは置き去りに。
「んっ…でけぇ……」
「あっ、う…んっ、はぁ、はぁ…っ」
二宮の丸い指が、舌が、口内が、大野を容赦なく追い上げる。
もう少し、というその時。
大野の脳裏に浮かんだのは、勿論。
『好きな人』の、笑顔で。
──翔ちゃん──……。
ぽたり。
二宮の頬に、温かい涙が落ちた。
大宮のお話
ゃないよ、安心してね(笑)
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と思ったけど画面いっぱいにうじゃうじゃされると嫌になりそう