ダンスを感じていたい

先日１６日、”日本の歌姫”安室奈美恵さんが引退しました。今日２０日で４１才です。

安室さんの出生データはネット上の情報によれば以下です。

１９７７年９月２０日、１８時３０分、沖縄県那覇市（ＡＳＣ＝２９魚座０３）

すぐわかるのは、ＭＣ（２９射手座２２）に合する月（２９射手座０４）　です。月は５Ｈルーラーで、６Ｈの金星（２７獅子座１７）からトライン（１２０度）を受けている配置は「芸能人としての絶大な人気と成功」を示すものです。

金星と「合」する土星はここでは「制限」という意味ではなく、彼女が「責任を持って、ハードな仕事をやりぬく」という意味です。

このチャートには「特異性」があります。

ＡＳＣ　２９魚座０３

ＭＣ　２９射手座２２

月　２９射手座０４

太陽　２７乙女座１８

「２９度の問題」が生じ、そして、“運勢代表”とされる４つの感受点が「Ｔ角」を成しています。

「２９度」は概念としては「そのサイン（星座）の意味の終了」です。しかし「終了」という概念を実際の人生に当てはめる場合は慎重でなくてはなりません。２９度といえどサインの意味は１００％そのサインなのです。「２９度」について私はまだ十分な確証を得ていません。ただ、「涙の度」という言葉には根拠はありません。おそらく、誰かが書き、そのドラマチックな言葉の響きゆえに広がったのでしょう。彼女の場合、ＡＳＣが魚座で牡羊座が１Ｈにインターセプト（挟在）はイメージにピッタリですし、、ＭＣと月の射手座もピッタリです。彼女の武器は明らかに「表現力」ですから山羊座などでは不適切です。

ＡＳＣ、太陽、月のＴ角は度差の観点からもしっかりアスペクトを作っています。普通、こうした場合は「性質に矛盾がある」と見ます。情緒的な魚座、その情緒を嫌う射手座、正確さを重んじる乙女座、正確性がそんなに大事なの？　と言いたい魚座。これらのサインの性質が全て「安室奈美恵」を作っているのです。そして稀な例として、彼女の場合、それらの「異質性」はうまく統合されているようです。

なぜそんなことが言えるのか。それは「全体の判断」です。９０度円に変換してみればわかりますが、ＡＳＣ、ＭＣ、太陽、月には＝火星／海王星はありますが他に強いハードがありません。木星の存在によって、太陽／木星（１５定着４８＝００運動４８）＝ＡＳＣ、月、ＭＣが成立しています。ＡＳＣは「２９魚座０３」ですから誤差１度４５でハーフサムの基本的なオーブ「１度３０」をわずかに外れますがＡＳＣは最強の感受点ですから「直接」同様「２度００」程度まで有効です。

ＡＳＣ＝太陽／木星

ＭＣ＝太陽／木星

月＝太陽／木星

となるわけです。

そして、木星は１０Ｈルーラー　です。ＭＣ「合」月、ＭＣ△金星と併せ、強力な「社会的拡大、膨張」の運です。金星は２Ｈ、７Ｈルーラー。多くの人々が彼女のために喜んで出費しました（金星＝獅子座）。

ＡＳＣ、ＭＣ、内惑星同士がハードアスペクトを作ったとしてもそれ自体はそれほど「悪い」わけではないと覚えておいてください。例えば、月と火星がスクエアであった場合は確かにストレスにはなりますが本人はそれほどストレスではないかもしれません。むしろ周囲がストレスになるのかもしれません。ＡＳＣ、ＭＣ、内惑星同士のハードは外惑星のハードが関与していなければ「それほどではない」のです。克服が難しい問題は常に外惑星（木星以外の土、天、海、冥）の関与によって生じます。

また、安室さんのチャートでは１０天体の全てが「西半球」にあります。よく、「惑星が東半球に多いと人生が能動的になり早熟になる」と言われますよね。ところが中学生で全国活動を始めた彼女の１０天体全てが西半球なのです。この「半球」がアテにならない概念であることがわかるでしょう。

次は海王星に関して。

彼女の海王星には

＝太陽／金星

＝月／金星

＝ＡＳＣ／金星

＝ＭＣ／金星

があります。この強烈な＝の一群は歌やダンス、リズムの大変なセンス・才能の表示ですが、この海王星をＡＳＣルーラーと見るかどうかが非常に重要な問題になります。

私は以前、「魚座のルーラーを海王星か、古典派のように木星とするかは今度の検討課題にしておきます」と書きました。しかし、この安室さんのチャートを見ると、やはり、魚座のルーラーは海王星ではないか？　との感触を得ました。彼女がこれまでの活動で獲得した莫大な所得、影響力の強さ、ファンの多さなどの「尋常ではないスケール」はたんに「強力な海王星」と見るより、「ＡＳＣルーラーだから」と見るほうが説得力があります。

というわけで、今日付けで、魚座のルーラーは海王星という以前の立場に戻ろうと思います。

※　

さて、私は彼女の活動開始時、結婚と出産、離婚、引退などの「Ｐ」やリターンを見ました。

以下、ごく簡単にポイントだけを記します。

①、Ｐ．１５才

実質的に全国活動を開始した時期。

Ｐ太陽／Ｐ月＝Ｐ土星（直接）。＝Ｎ金星（直接）

Ｐ太陽／Ｐ木星＝Ｐ．５Ｈカスプ（直接）　←　これは示唆的です。

②、リターン１５才（１９９２年９月２０日、０９時４４分１８秒、東京　ＡＳＣ＝１９蠍座１９）

ＭＣが２７獅子座４９で、Ｎ金星（２７獅子座１７）に合！

（那覇市で作ると１５獅子座２６で合は不成立）

③、Ｐ．２０才

１９９７年１０月２２日に結婚を発表。翌年５月１９日長男を出産で、いずれも２０才です。

９月２０日のバースデー時点で、Ｐ太陽＝Ｐ金星／Ｐセレスが誤差０度０１。Ｐ月が１５乙女座１１、Ｐ金�
��が２１乙女座４５。結婚発表日から出産日までの期間に、Ｐ月がＰ金星を横切りました。

④、リターン２０才（１９７７年９月２０日、１４時５５分３５秒、東京　ＡＳＣ＝００水瓶座２５）

ＡＳＣ／ＭＣ＝金星

太陽、木星＝月／金星（拡張された幸福感）

⑤、⑥　引退宣言、引退

なぜこの時期の引退なのか？　これを「Ｐ」で説明することは難しいことです。ただ、４０才（２０１７年）と４１才（２０１８年）のバースデー時の「Ｐ」を見ると、

ＤＳＣ　「合」　セレス　（４０才では０度２１差、４１才では０度２２差）です。

セレスが引退と関係しているように見えます。７Ｈカスプにセレスですから、定義的には「パートナーへの無償の愛」です。しかし、彼女は単身ですからおそらくこの意味は子供への配慮ではないでしょうか。

なお、リターン２０１７（９月２０日、１１時０３分０１秒　ＡＳＣ＝５射手座２４）では、

ＡＳＣ／土星（１Ｈ）＝Ｎ海王星（直接）が成立していて「引退」の表示でしょう。この形成もまた「彼女のＡＳＣルーラーは海王星である」ことを後押ししているように見えます。

ＭＣ＝太陽（１０Ｈ）／火星（直接）が作られています。これは、社会的大活動。引退宣言からの１年間で１０００億円ともいわれる経済効果をもたらしたとされています。

最後に「アングルカスプ」（１Ｈ、４Ｈ、７Ｈ、１０Ｈの始点）についてお話しします。

彼女は、ＭＣ「合」月だけではなく、太陽もＤＳＣ（７Ｈカスプ）に１度４５差の「合」です。これは、重要な２つの天体がアングルカスプにある、ということです。そしてそれは「共に光り輝く天体であった」ということです。

安室奈美恵のチャートでは「６Ｈの強さ」が印象的ですが、構造的にいって、また、Ｐやリターンを見ても「アングルカスプ」が重要な機能を発揮しています。おそらく、アングルカスプと「社会的存在感」はリンクしています。もちろん「天体の性質」は考慮しなくてはなりませんが。

たとえば私の場合アングルカスプに「合」するのはＩＣに合する牡牛座の木星だけ。ＡＳＣルーラー、太陽、月はいずれもアングルのハウスにさえありません。これではあまり目立ちません（笑）。目立たないというよりは「目立とうとしない」のでしょう。門馬の後を継ごうと青雲の志（？）で上京した私ですが結果として「推進力」が不足していたとしか言いようがありません。だんだんと”天下を取ろう”とする意欲が低下し「別な幸福」で満足していったのです。

単純にいえば、アングルカスプに天体が接触する（合する）ということは「目立つ立場になる」意味です。もしそれがハードだと、表舞台に「立たされて」四苦八苦することにもなるでしょう。

安室奈美恵は目立って「輝いていた」ということです。彼女の７Ｈの冥王星は若干の不安要素ですが、ＡＳＣルーラー海王星と正確な６０度ですから大きな懸念にはならないと思います。

幸福な人生だと思います。もっとも、これからが長いですが。

「彼女のＡＳＣルーラーが射手座で９Ｈにあるから将来海外に移住するということも考えられますよね？」というご質問が来そうです。確かに。でも、９Ｈルーラー木星が４Ｈで蟹座ですよ。どうでしょうね。また眠れなくなりそうです（笑）。

了